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ナイトライド・ストーリー

Chapter 79

先日、急遽、ソウルへ飛んだ。出張の目的はソウル半導体とその子会社に対して、弊社の特許全ての独占的使用を認め、その見返りとして同社の製造するUV-LEDの優先供給を受ける契約に調印するためだ。このところ、UV-LEDへの台湾、韓国、中国メーカー等の参入が相次いでいる。そこで、我々の特許だけでは不十分なので、1万件以上のLED特許を保有し、9年前から特許ライセンス契約を結んでいる同社との契約を独占契約に格上げし、もし侵害が認められた場合は共同で対処し侵害を許さないという姿勢を明確にした。更に、この分野で知名度の高い弊社がソウル半導体の製品を販売することで、シナジー効果が生まれることを期待している。

我々が13年前、会社を始めた頃、UV-LEDには誰も見向きもしなかった。米国の大手LEDメーカーのCTOは、なぜ製造が困難なUV-LEDをわざわざ作る必要があるのかと指摘した。ところが、韓国の同社は違った。弊社の特許に関して、2004年、ライセンス契約を締結。そして、2006年には、交流駆動LED(AC-LED)の基本特許を購入した。この時の売却益は経営の厳しかった弊社を救った。その後、彼らは商標名AcrichとしてAC-LEDの製品化に成功している。日本人は正直、韓国の企業に対して、知財という意識が乏しいというイメージがあるが、確かにそのような大企業も存在する。しかし、私の経験上では、日本の大企業も似たり寄ったりである。そんな中で、ソウル半導体は、約10年前に弊社の特許の有効性を認め、敬意を示した稀に見る信頼できるパートナーだ。

今でこそ弊社は、業界の人間なら誰もが知っている世界ブランドだが、そこに至る道程は決して楽なものではなかった。詳細はNSストーリーを読み返していただければ記憶が蘇るが、真の困難は記述できないほどすさまじかった。道なき道を切り拓く者にしか計り知れない大きな困難がそこにはあった。お金、労力、知恵、そして長い年月。事業が黒字化するのに7年と膨大な累積損失を抱え、多くの者が理想と希望を打ち砕かれた。1番手と2番手では、困難さが全く異なる。だからこそ、特許制度が存在し、先駆者の先行利益を担保する制度が確立されている。各国特許法上、侵害行為は違法であることを理解しなければならない。そのような製品を安易に採用したユーザーも同様である。

誰もが楽をして他社の技術をコピーし、製品を安易に作ることはできない。それは自社の技術を守るためでもある。研究開発をしないでコピー製品を製造するならば、安く作ることができる。だから、買う側も、ただ安いという理由で買うことは危険だということを理解して欲しい。私の知る限りにおいて、UV-LEDを合法的に製造できる会社の数は限られる。

今やUV-LEDの発光効率は波長400nm前後であれば、青色を超える。コスト構造も基本的には、青色と同じであり、今後、量産効果によって大幅に製造コストは下がる。

韓国、台湾、中国メーカーの参入は、想定していたことであり、いよいよ来たかといった感がある。皆が参入するということは、13年前にUV-LEDの時代が来ると言った事が現実になったということでもある。

このところ、日本の過去の過ちに関して、日韓関係が険悪であるかのような風潮があるが、現代の日本人として過ちを償って行くためにも誠意が必要だと感じる。日韓の過去の溝を少しでも埋めるためにも、日韓の人々が草の根レベルで協力し、新しい歴史を作って行くことが大事だと思う。

ソウル半導体 リー会長と ソウル半導体 リー会長と

平成25年09月13日

戦いの友と日韓友好

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