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ナイトライド・ストーリー

Chapter 78

毎週日曜夜放送NHKBS1のビジネス情報番組BIZプラスサンデーの「日米ベンチャー新世代」特集で弊社が取り上げられた。

私の「日本の大企業にはベンチャー企業の技術を尊重する文化はない」という発言が波紋を呼んでいる。確かに、その部分だけ抜き出すと、日本の大企業を全て敵に回さざるを得ないような過激な発言と受け取れる。但し、弊社の製品が日本の大企業に採用され、標準品としてご活用いただいている現実があるので、そのような意図の発言ではないということをお断りさせていただきたい。また、ビジネスは、先進的であること以上にビジネス上の利益が重視されることもよく理解しており、値段が高くてもベンチャーを採用すべきと言った偏った主張をするつもりは毛頭ないので、そのようにご理解いただきたい。昨今、特許もいかがわしいアジア製UV-LEDが出回り始めており、ただ、単にコストが高い安いということだけでなく、日本のベンチャーが世界に先駆けて取り組んだ勇気と技術を尊重する風土があってもいいかなと感じている。

また、番組制作者の意図として、日本から世界的な製造業ベンチャーを輩出したいとの願いから、日本の大企業のベンチャーとの接し方に課題があるのではないかと伝えたかったのだろう。確かに、我々の実体験として、日本を代表する大企業が、出資と提携をちらつかせ、特許、技術と製造装置リストの公開を求め、クリーンルーム内まで視察した挙句、サンプル1個購入しなかったどころか、しばらく経って後に製造装置を導入して開発を始めたが、うまくいかないから、来て手伝ってくれないかと連絡して来たという呆れた経験をした。

こういう話は、何も弊社に限った話ではなく、中小企業同士の情報交換の中ではよくある話だし、その手のブラックリストさえ存在する。

私は、この番組で取り上げられたことによって、逆に自分達の無能さを感じた。世界から注目される技術を持っていながら、この程度のビジネスしかできていないことに苛立ちさえ感じた。5期増収増益などと小さな成功に甘んじている場合ではないと。

我々が13年間で経験してきたことには、ベンチャー企業が成功するためのヒントが沢山隠れている。だから取材にも積極的に協力し、若い起業家の参考にして欲しいと思った。

たとえば、第一に、世界最先端の技術開発の重要性。これは言うまでもないことのようだが、実は一番難しい。なぜなら、大部分の研究者が、そのようなテーマの開発は理論的に困難という判断を下している場合が多く、そのような環境で出資者の理解を得て開発費を捻出するのは難しい。他に先んじることで、様々なアドバンテージが生まれることは承知だが、そこを一歩踏み出すためには勇気と努力を必要とする。次に特許出願の重要性。特許は出願に海外も含めると最終的に補正をかけながら成立するまでに1件約1千万円掛かる。一般的には中小・ベンチャーがそれを負担することは難しく、出願さえしない場合が多い。しかし、弊社のように、これらの特許に買い手がついて資金繰りが厳しい状況を救われるようなこともあるし、これらの特許価値で企業の買収金額が決まることもある。

私は、18年前に徳島でベンチャー支援を始めて以来、日本から世界的なベンチャー企業を生み出したいと切実に願って来た。そして、製造業大企業の衰退という流れの中で、日本全体が、本気で世界的な製造業ベンチャーを生み出そうとしている機運を感じる。

そのような中で今回の番組が指摘した、大企業のベンチャー企業活用法に関して、大いに的を得ている部分があると感じる。苦境に喘いでいる今だからこそベンチャーを成長エンジンとして組み込むといった新たな取り組みによって大企業自身が今までにない成功体験を積むことが重要なのではないかと感じた。私のような者が言うのはおこがましいが、弊社もそのような大企業との事業提携を前向きに検討したいと考えている。

平成25年07月11日

番組の取材を受けて感じたこと

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