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ナイトライド・ストーリー

Chapter 195

日経平均株価が33年振りの高値を記録した。日本の失われた30年を理解するため、1992年、MIT教授だった経済学者レスター・サローが著した「大接戦」“Head to Head”を読み返した。驚くのは、今、日本が抱える問題点を、日本経済が絶好調だった当時に言い当てていることだ。海外労働者の受け入れ、その他、閉鎖的な発想の日本人が、世界の覇権を握ることは難しいと断言している。米国の第二次世界大戦後の発展は、英国の経済発展が、産業革命によって成し遂げられたのと異なり、サル真似経済によって成し遂げられ、日本の経済発展も同様のサル真似と表現した。米国と日本の最大の違いは、軍隊を持たないことであり、極端な貿易不均衡は、周りの国々からの反発にあって長続きしないと言い当てた。1993年11月、EU統合を成し遂げた欧州が、大きなマーケットを武器に発展する可能性を示唆していたが、これは必ずしもその通りに行かなかった。1991年末の東西冷戦終結で、共産主義の脅威がなくなった直後、流石のレスター・サローでも、今のような共産主義国中国の自由主義的なやり方での急速な経済発展や、ソビエト連邦崩壊後の、ロシアが軍事侵攻で、欧州を脅かすことを予測することは難しかっただろう。しかし、読みながら感じることは、変革の努力を続けた国が勝ち、何もしなかった、若しくは、怠った国は負けると言う、企業にも共通する真理である。日本は、指摘の通り、サル真似がうまかったので、Japan as No.1(1979年社会学者エズラ・ヴォーゲル著書、実際にNo.1にはなれなかったが、この本が米国に警鐘を鳴らした)と持ち上げられたが、その後の変革を躊躇ったため、サル真似の更にうまい、韓国、台湾、そして中国に敗れ去った。特に、GDP世界9位、米国の12分の1にも満たなかった中国が、改革・開放路線に則って、共産主義的計画経済から大幅な変革を果たし、1989年の第二次天安門事件に見られた人権抑圧の中で貯められた民間活力マグマを爆発的に活用して、驚異的な経済発展を短期間で成し遂げた。江沢民党総書記(後国家主席)の手腕は高く評価されるべきだろう。上海証券取引所の開設を始め、IT産業の育成、その他、様々な産業の活性化によって、今や、米国を凌ぐと言っても過言ではない所まで中国を引っ張り上げた。但し、サル真似経済のジレンマ、真似できなくなった所から先に進むための自己変革を成し遂げることは容易くない。習近平独裁中国の軍事力増強は、韓国、日本、台湾と違って、米国に対抗できる武力を誇示することで、ジレンマを乗り越えようとしていることがわかる。それは誠に賢明と言える。武力で抑え込みにかかる米国に対抗するには武力しかない。中国4千年の歴史、三国志にも記された戦に明け暮れた広大な国の統治者ならではの対処法と言える。こんな書き方をすると、お前はどちらの味方なのか?と言われそうだが、どちらの味方でもなく、客観的に観察して感じたことを書いているに過ぎない。LGBT議論に見られるように、行き過ぎた自由主義、価値観の中で、トランプ前大統領のように、公平な選挙結果さえフェイクと主張する自由主義陣営に、束縛と自由の垣根がなくなりつつある危うさを感じる。ご都合主義的自由を守るための戦争、ご都合主義的経済発展が危うい未来を示唆しているように思える。

30年前に買ったレスター・サロー著”Head to Head” ハードカバー

30年前に買ったレスター・サロー著”Head to Head” ハードカバー

令和5年6月5日

失われた30年の先にある危うい未来

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