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ナイトライド・ストーリー

Chapter 87

前章の「ヘタクソ!」が波紋を呼んでいる。私は、言い訳を書くためにこの章を書いているのではない。慰めの言葉が何の進歩も生まないことは、書店に並んでいる多くの成功者の本を読めばわかる。成功するためには強烈な反骨精神が要る。一般の人には自殺のきっかけにさえなり兼ねない一言でも、世界の頂点を目指す人たちにとっては子守唄のようなものだ。人間とは怠惰な動物であり、知らず知らずのうちに気が緩む。だからこそ、こういう機会はチャンスでもある。優勝候補のブラジルでさえ、やっとやっと勝つ状況を見ればどのチームにも王道はない。選手の身体能力、技術、細かく見れば、判断力、持久力、瞬発力、ドリブルスピード、ボールさばき、その他を個別に分析したら、日本選手は下の方に分類されることは間違いないだろう。鍛え上げられた海外選手と比較すると、日本人は少年サッカーのようだ。アルゼンチンのメッシ選手は、小柄で顔も童顔だが、体から尋常でないトレーニングの痕が伺える。スイッチが切り替わった瞬間、爆発的スピードと瞬発力を発揮する。日本のサッカーはパスやドリブルのスピードが遅く緩急のメリハリも少なかった。これは身体能力だけでなく練習に因るところも大きい。

日本に限らず、イングランド、韓国にも足りなかったのは反骨精神だ。自分たちは既に世界の強豪選手だという慢心がなかっただろうか?ポルトガルの英雄クリスティアーノ・ロナウドでさえ本領を発揮できなかった。ロナウドよりもスゲーと思える無名の選手が一杯いた。既に欧州プレミアリーグで活躍する選手達にハングリーさはない。

世界の頂点を争うというのは大変なことだ。過去の名声でなんとかなるようなものではない。だから、1勝もできずに帰って来た選手に慰めの言葉はいらない。そんな言葉をかけること自体がプロである彼らに失礼でさえある。実際に彼らは帰国して今まで以上の厳しいトレーニングに励んでいるに違いない。

今日の新聞に国立大学が1000億円のベンチャーファンドを立ち上げたという記事が載っていた。先日の文科省主催の講演でも話した通り、事業の目的は金儲けであり研究開発ではない。STAP細胞を世界に先駆けて開発することは至難の業だが、STAP細胞で金儲けとなるとハードルは更に高い。

ベンチャーが戦う相手は大企業の場合がほとんどで、相手に手加減はない。「じょうず、じょうず」と温室で育てた日本発のベンチャー企業が、大企業や雑草のように逞しく育った世界ベンチャーに勝てるだろうか。

勝つためには、「じゅうず、じょうず」ではなく「ヘタクソ!」とはっきり言える環境が重要と思う。日本の平和ボケは、相当重症化している。

平成26年07月01日

「ヘタクソ!」の意図

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