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ナイトライド・ストーリー

Chapter 75

アベノミクス効果が出始めている。経済政策は、従来の救済指向から種まき指向に変化した。そして、特に製造業を復活させようという意気込みが感じられる。ベンチャーを起業して苦節13年、ITバブル以来のチャンス到来と感じる。

本章は、皆さんを勇気付けるために5期連続増収増益の秘密をお話しよう。実は増収増益の内実は決して楽なものではなかった。主要販売先は毎年変わり、それも国内外の多くの取引先が入れ替わった。ただ、製品の価格は数量が増えれば安くなり、逆に少なくなれば高くなる。従って、数量の少ない取引先を数多く抱える方が利益率は上がる。大きな取引になると設備投資が必要になり、価格に対しても値下げ圧力が増す。従って、減価償却を終えた既存設備で賄える範囲であれば損益分岐点は上がらない。また、大口の取引先がないことで危機感が生まれ、それが取引先の新規開拓と新製品を生み出すモチベーションに繋がった。つまり、多取引少量販売が増収増益の理由である。但し、その前提として、弊社が世界に先駆けてUV-LEDを開発したこと。また、製品の性能を13年で1万倍以上に高めて来たという前提条件があるので、ただ多取引少量販売をすればいいということではないが、小さな企業でも規模に応じて外部環境にうまく適応することで好業績に繋がる。半導体ビジネスは量産効果が出せないと難しいとVC担当者に指摘されたことがあるが、大企業の常識はベンチャーには通用しない。

企業経営の難しいところは、外部環境を読み違えると好調が一転不調に転落することである。NY証券取引所上場の中国太陽電池大手サンテックの経営危機が好例だろう。「ナンバー1しか生き残れない」は死語になり、ナンバー1でさえ生き残れない時代になった。LED業界も太陽電池同様、再編が進んでいる。その背景には、技術の差別化が図り難くなった現状がある。最新の装置を買えば最先端の製品が作れる時代、企業力の違いは資本力の違いでしかなくなった。大企業同士が設備投資競争を繰り広げ、製品価格の下落を招いて資金繰りに行き詰まる。これと同様の話を13年前DRAMの設備投資で失敗した某半導体メーカーの元役員から聞いた。製品のライフサイクルと企業の盛衰には一定の法則性がある。従って、製品がコモディティ化した時点で事業を売却若しくは縮小し、経営資源を新規事業開発に振り向ける必要がある。経営指南書にも書かれていることだが、実践するのは難しい。「わかっちゃいるけど、やめられない」のが人間の性か。

TPPの議論は、浦賀のペリー来航と同様、変化に対応できない者にはピンチ、順応できる者にはチャンスである。どちらが正しいということではなく、開国しなければ時代に取り残される。世界との距離はインターネット革命によって急速に縮まった。

昨日の常識は、今日の非常識。

日本にはもの作りに有利な生態系がある。メイド・イン・ジャパンが復活する条件は整った。

平成25年03月27日

新しい生態系の誕生

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