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ナイトライド・ストーリー

Chapter 220

紀元前18世紀古代メソポタミアのバビロン王ハンムラビによって制定された世界最古の成文法ハンムラビ法典は、「目には目を、歯には歯を」という復讐法で知られている。現代の先進国の法体系は、基本的にハンムラビ法典の発展した形だが復讐は認めていない。「目には目を」の意味するところは、他人の「目」を傷つけた犯罪に対して、同じく自身の「目」を持って罪を償うと定めていて、それ以上でも以下でも許されないという意味がある。つまり、公平に裁くことが重要だとしている。未だにウクライナ、ガザ、パレスチナ等、復讐の連鎖が止まらず、毎日のように多くの一般市民の命が失われてしまうことに心が痛む。国際連合という組織は二つの世界大戦で多くの命が失われた悲惨な戦争を教訓に、国際平和と安全の維持、国家間の友好関係の促進を目的に1945年に設立された。しかし、安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使すると何もできない。そもそも国連自体は軍隊を持たないので国連軍と言っても実際には各国から軍隊が派遣される。派遣される兵士にしてみれば自国の利益に繋がらない紛争では士気が低い。実際に国連軍が出動した例は過去に1回しかない。国連設立5年後の1950年の朝鮮戦争で、北朝鮮の韓国への侵攻に対してアメリカを中心に16か国の兵士が参加した。圧倒的な軍事力で即決着がつくと思われたこの戦争でも、中国義勇軍の参戦で前線が戦争前の38度線付近で停滞し休戦に持ち込まれた。今でも両国は交戦状態にあり米国軍が韓国に駐留する根拠になっている。将来的に北朝鮮が韓国に侵攻した場合、国連が武力行使を決議するとは思えない。つまり、国連が絵にかいた餅になっている。軍事侵攻まで行かなくても1960年代のコンゴ動乱、1993年ソマリア内戦、1998年コソボ紛争では、平和維持軍(PKO)が派遣されたが、派遣兵の多くが犠牲になり失敗に終わった例が多い。私は映画好きなので、2001年リドリー・スコット監督のドキュメンタリー映画「ブラックホーク・ダウン」を映画館で観て衝撃を受けた。軍用ヘリ・ブラックホークで捕虜米兵を救出に向かった米兵達がゲリラとの市街戦で逃げ場を失ってほぼ全滅するといった悲惨な描写が忠実に再現されている。つまるところ、国連がたとえ軍事侵攻や平和維持軍の派遣を可決したところで、紛争を終わらせることがでできる可能性は低いと言える。国連の設立から80年が経ち、世界平和の実現に何が必要か本質的な議論をすべき時期に来ている。魂のない仏(ほとけ)は無意味だ。戦争に於いても、復讐は認められない。現代の刑法では、事情はどうであれ殴られたからと言って殴り返せば暴行罪が成立する。戦争に於いても、同様の秩序が必要かもしれない。つまり復讐的反撃を認めない法秩序も必要だ。前提として、侵略者が占領した領土を認めず、相手国に与えた人的、物的賠償責任を追及するような平和的国際秩序を構築する必要がある。国境なんてものは、地図の上に描いた線に過ぎない。だから、単に国境を越えて隣国軍隊が不法侵入したに過ぎないと考えて不法入国者として排除する方法を考えたらどうだ?人の命より大切なものなんてない。国境線と人の命はどちらが大切か?国境線を超えるのはけしからんと銃をぶっ放せば戦争だが、放っておいたらどうだ?楽観的に過ぎるだろうか?

復讐法を定めた古代メソポタミアのハンムラビ法典

令和7年9月2日

復讐の連鎖を終わらせるために必要なこと

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