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ナイトライド・ストーリー

Chapter 166

 政治と中央官庁の堕落振りに嫌気が差すが、正しい判断ができないことに納得が行く。日本は緊急事態宣言解除、欧州ではロックダウンと逆の動きになっている。 ワクチン接種で先行する欧州で感染が再拡大していることを見れば、未だに一般向けワクチン接種が始まっていない状況で、東京オリンピックを念頭に置いても、この判断は誤りと分かる。 このような簡単な判断ができない政府が、国のマクロ政策を正しく判断出来るとは思えないし、現実がそれを物語っている。 世界経済を見ると、中国が衣類から最先端の半導体まで、あらゆる製造を担い、先進国は中国に頼らずには成り立たない。 今や、中国製が粗悪品とはシーラカンス的発想で、品質面も基本的に問題ない。不良率等、確かに細かい所では、難が無いこともないが、価格が安いことは、その難を補って余りある。 この飛躍的進歩は、中国政府及び州政府の産業振興策に大きく依存する。 海外の超一流大学で学び、先端企業で働くエンジニアを優遇策で国内に呼び戻し、最新の研究施設と製造設備を与えて製造する。 先進国の半導体メーカーは、自ら設備投資するよりもこれらの中国企業にOEMで安く発注する方が儲かるので、もう自力では製品を供給できない。 中国の強みは、国営、民営を問わず、でたらめな損益計算によるところが大きい。半導体がわかり易いので、例を挙げれば、製造に必要な材料は、安価なシリコンと、値の張るのは精々電極に使用する金程度、製造原価の大半は、露光機といった高価な製造装置が占める。 これら高価な装置は、補助金で導入するので、原価償却費が帳簿に載らない。従って、製造経費は、設計を含む人件費と材料費だけ。半導体の製造装置は、大量に購入した方が1台当たりの単価が安くなるので、設備投資額が他社を上回れば競争力が増す。 製造原価が人件費と材料代となれば、年収300万円の従業員が1万人いても、単価5円で100億個売れば利益が出る。先進国の民間企業は、人件費は高く、設備投資が製造原価に載ってくるので、採算レベル単価50円となって全く競争にならない。 このような国際競争で喘ぐ企業の足を引っ張るかのような働き方改革で、待遇改善ばかりを訴え、根本的な国際問題や、産業基盤を強化することを怠って来た。 カジノ振興といった観光業を極端に優遇した政策はGoToにも通じているが、日本が、そもそも輸出で成り立っていること忘れたかのようなピントのずれた政策が、国を破滅に追い込んだ。幸いなことに、今期、弊社は、好決算で終える見込みだが、私は、10年前から、国内の事業範囲を商品企画と研究開発だけに絞り、核となる結晶成長以外の製造、例えば、LEDの後工程は韓国、最終製品は中国ということで、分業を進めて来た。 今や、露光機どころか、調達する原料まで中国で製造を始めているので、近い将来、先進国の産業は輸入して売るだけになる。 昨年、日本の給与平均が韓国以下となったが、中国に抜かれるのも時間の問題となった。 更に、最悪と思えるのは、金融緩和で、ぷくぷくと膨れあがったバブル崩壊が、目前に迫っていること。 阿呆なのは政府だけでなく、民間大企業も負けていない。塩素ガスをナノイーXと呼ぶ空気清浄機を法外な値段で販売する。 こんな製品に騙される消費者にも責任はある。  

令和3年3月18日

阿呆な国と国民

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