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ナイトライド・ストーリー

Chapter 155

コロンビア大学のブレナー教授の研究で、エキシマランプを使用し、紫外線C波の波長222nm近辺の光(遠紫外線)でパンデミックを防ぐことができると話題になっている。 折角の明るい話題に冷や水を浴びせる様で申し訳ないが、うまく解釈できない。 レポートによれば、波長222nmのエキシマランプ25分間の照射で、従来型のコロナウイルスを99.9%不活化したとする。 例えば、JR山手線の電車の天井からこの光を常に照射したとして、不活化に25分掛かるということは、新宿駅に陰性の人10名乗車の車両が到着し、陽性患者1名が更に乗車して発車したとする。 25分後到着予定の浜松町駅に到着するまでに9駅あり、各駅で5人ずつの乗車と下車があったとすれば接触感染者は到着までに50人になる。 それにも関わらず、なぜパンデミックを防ぐことができるのか教えて欲しい。 同教授チームの別のレポートで、波長207nmで100mJ/cm²の光エネルギーでメシリチン耐性黄色ブドウ球菌を99.9%殺菌したとするが、比較のための波長254nmのUVランプは、10mJ/cm²で殺菌したとする。 つまり遠紫外線エキシマランプは、一般的なUVランプ殺菌灯の10倍の時間を必要とすることを難解に記述している。

人体に安全なことを強調しているが、殺菌効果が同じで安全ならば素晴らしいが、殺菌効果が10分の1なら、あまり意味がないのではないか?

弊社の波長275nmのUV-LEDも254nmのDNAの最大吸収帯から20nm長波側にずれているので、殺菌効果は理論上劣ることになるが、実際には高い殺菌効果を有する。 その理由は、UVランプが幅広いスペクトルを持つのに対して、UV-LEDは狭いスペクトルなので、効果的にウイルスのRNA塩基にダメージを与えることができるからとされている。

光エネルギーJ(単位ジュール)は、光照度×光照射時間なので、弱い光を長時間照射するのも、強い光を短時間照射するのも、光エネルギーは等しい。 生体への影響を考えた場合、弱い光を長時間照射した方が生体への影響は少ない。 従って、ヒトの細胞壁を透過しない程度の光を長時間照射することで、サイズ的に約100分の1しかない、しかも細胞壁を持たないウイルスのたんぱく質に包まれたRNA塩基を破壊、不活化することは容易となる。 つまり、ブレナー教授が主張する、殺菌効果の低い遠紫外線を使用しなくても、殺菌線波長の光を少量で使用すれば同様に対処できると考える方が確実ではないか?

そんなことを考えながら、ハンディUV-LED殺菌灯を屋外に持って行って、今の季節、空き地を黄色く埋め尽くすオオキンケイギク(特定外来生物)に照射を試みたところ、丸2日間48時間照射したが、極端に枯れたり萎れたりする変化は見られなかった。 次に、アシナガ蜂を捕まえて5~10cmの至近距離から照射したが、嫌がる様子は確認されず、光を認識していない様子だったが、約1立米のガラスケース内で閉じ込めて照射し続けたところ、3時間後に動きが鈍くなって死んだ。

地上に振り注ぐ太陽光には、波長300nm以下の殺菌線が含まれないので、地上生物は、この波長の光を認識できないと同時に、物理的耐性を持たないと推測できる。 弊社の独自試験で、波長275nmの光は、食品の鮮度保持用ポリ塩化ビニリデン製ラップ(通称サランラップ厚み0.01mm)ポリエチレン製ポリ袋(厚み0.05mm)は、透過するが、レジで客と隔てるために使用されることが多くなった塩化ビニールシート(厚み0.15mm)は、透過しない。 ブレナー教授の仮説は、波長275nmのUV-LEDの光の特性にも一致しているので歓迎するが、パンデミックは防げない。 夢は持ち続けたいが、医療現場の最前線は、確実な知識と方法を必要としている。

深紫外線を48時間照射した後の様子

深紫外線を48時間照射した後の様子

波長275nmの強い紫外線でアシナガ蜂は3時間で死亡

波長275nmの強い紫外線でアシナガ蜂は3時間で死亡

令和02年05月27日

夢と現実の間(はざま)

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