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ナイトライド・ストーリー

Chapter 114

今年は、平和の祭典オリンピック・パラリンピックイヤーだったので、日本人選手の活躍も記憶に新しいが、そんなことを忘れさせるかのように、自爆テロは毎日のように起き、ブレグジット、トランプ大統領、朴大統領弾劾、OPEC減産合意、ロシア大使暗殺と、年末まで大事件が続いた。

これらの事件からわかることは、世の中というか、人々の「心」が想像以上に荒んでいるということ。それも、本当に貧困で苦しむということではなく、ある程度の「豊かさの中にある不満」、若しくは「不公平感」が強い。テロを実施した若者達は、貧しい紛争地域で育ったのではなく、豊かな先進国で高等教育を受け、職に就いて人並みの生活を送っていた。それなのに、なぜ?

また、「予測不可能」ということも共通する。「まさかの・」という見出しが目に付いた。SNSによって人々の趣向、傾向は統計的に把握しやすくなったが、そのような情報網でも把握できない人々がいる。SNSで呟くことはなく、キャンペーンにも参加しないが、投票所には足を運ぶ。拮抗した選挙戦、最期の最後、僅差の決定打は高齢者の一票ではないか?

さて、これらの大事件後、多くの心配をよそに、ポンドは元通り、アメリカ経済も好調、日本の株価も上昇ということで、良くなっている感さえある。しかし、まだ結論を出すのは早い。何事も「風が吹けば・」の通り、小さなきっかけが思わぬことに発展する。会社の経営でも、今回は大丈夫だろうと甘く見過ごして、痛い目にあったことがある。

世の中には、法律といった条文化されたルールから、暗黙のルールまで様々ある。これらは、社会若しくは団体の秩序を維持していくために最低限守るべきことを規定している。

自由貿易主義というのは、製品を海外へ輸出する側の国には好都合だが、買う一方の側の国の事情を鑑みれば保護主義もやむなしと思える。しかし、人類の発展は、科学技術の進歩、生活の質の向上を前提にしており、過去の戦争の経緯と社会主義の崩壊を見れば保護主義の失敗は歴史が証明している。

製品は競争がなければ、性能は向上しないまま、デザインだけ変更される。キューバでは、未だに60年代のアメ車が走っている。優秀な製品がマーケットを支配するという競争原理は、強い者が生きのび、弱い者は去るという自然界の法則である。この法則を曲げようとすると歪が生ずる。

OPECの減産合意は、価格カルテルと言えるが、世界中の人々に影響する原油の価格決定が恣意的に行われ、日本の電子部品メーカーがEUから法外な制裁金を要求されることに不公平を感じる。「罪刑法定主義」というのは法学部で最初に習う法律の基本。EUの制裁は、そのような基本原則に則っているのだろうか。

自然界の法則である競争を無くすことなどできない。強い者が弱い者に勝つという最も基本的ルールさえ維持できなくなれば不公平感は一層増す。

今年が起点となって、来年以降、どうすれば、より多くの人々が幸せを享受できるのか人類の模索は続く。

平成28年12月20日

心の混沌

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