Home Sitemap English
header
HOME

ナイトライド・ストーリー

Chapter 111

先週はハンガリーのブタペストで技術講演、今週は横浜のLED JAPANで一般講演があった。DUVが関心の中心になりつつある中で、なぜ私に声が掛かるのかは不明だが、講演は、改めて自らの技術、事業を冷静に分析し、その内容が時流に合っているかを確認する機会でもあるので、大変有意義であり、引き受ける価値があると考えている。

UV-LEDは、アカデミックな観点だけではなく、事業としても白色LEDに代わる存在に昇格し、展示製品の中心になった。

私は、今となってはつくづく運がいいと感じる。徳島に来て20年間、青色LEDの栄枯盛衰を自らの目、耳、鼻、口、手の五感で感じ、ノーベル物理学受賞まで目の当たりにした。これらの経験は、私の財産である。青色LEDの急激な発展と、自らの手掛けるUV-LEDを比較して悲観した時期もあったが、多くのLEDベンチャーが欧米、台湾、韓国、そして中国で立ち上がり、ほとんどが消えて行った。今でもそれらの経営者と会う機会があるが、人脈も貴重な財産である。

さて、パシフィコ横浜の収容人数が足りず、立ち見をしていただいた皆様には、お詫びと共に御礼申し上げる。日本のLED業界も御多分に漏れず、中国の過剰生産の影響で売上の縮小、撤退といった暗い話題が多い。台湾、韓国との熾烈な価格、性能競争がその前にあったのだが、そちらはある程度市場原理に基づいた適正な競争と言えたが、中国製品の価格決定メカニズムには首を傾げざるを得ない。自由貿易の前提となるのは市場原理であり、盲目的な推進には疑問符が付く。

今回目についたのが、新興のUV-LEDメーカーだが、効率が低いのでまだ気にも留めていないが、性能が低くかろうが、他社の知的財産を侵害して製品を販売できないのはビジネスの常識である。結晶成長、チッププロセス、パッケージに関して、既存LEDメーカーが20年以上にわたり膨大な特許を出願している。我々のパートナーのソウル半導体は1万件のLED関連特許を保有するが、彼らでさえUVの分野では弊社と手を組み、弱点を補完し合っている。それを、国籍は兎に角、新興のLEDメーカーが、製造、構造特許を回避できているとは疑わしい。侵害の事実が明らかになれば協力して権利を主張する。

技術講演でも感じたのは、大企業の研究者がかつての様に新しい研究開発を行っていない。新興国に生産を頼り、他人の物真似をするようなビジネスモデルだから、この有様なのではないか。

日本は、東京オリンピックまでに世界に率先して、水銀を含むUVランプを全廃し、白色照明も中国製白色ではなく、日本の最先端技術を結集した高演色UV-RGB白色といったように、どこも真似できない製品をオールジャパンで結集して実現すべき時期に来ていると感じる。来日した外国人に、「おもてなし」の心と同時にテクノポリス東京として、アニメの世界を具現化したロボットや未来カー、ハイテクがおもてなしをするといった演出も必要だろう。東京オリンピックはスポーツの祭典と同時に技術の祭典でもある。お互いに足を引っ張り合って安さを競うのは終わりにしよう。

平成28年09月16日

LED展示会に感じたこと

<< PREV | INDEX | NEXT >>

TOP


All Rights Reserved, Copyright© NITRIDE SEMICONDUCTORS .Co.,Ltd.