Chapter 218
イーロン=マスクが新党「アメリカ党」の設立を表明した。事業家が政治に関心を持つのはマスクに限ったことではなく日本でも岩崎彌太郎、松下幸之助や稲盛和夫etc.が政治家の育成を図った。事業を営むと世の中の流れがよく見えるので国のあり様が気になるのだろう。マスクは自他共に認めるアスペルガー症候群だから物事に執着する傾向が強い。会社の経営に於いては収支がバランスすることは必須なので国の収支がアンバランスなことが許せないのだろう(笑)。決して私利私欲で政治を都合よくビジネスに利用してやろうということではなく、明らかに道が誤っているので修正したいという衝動に駆られるのだと思う。よい国とは何かという根本の議論になるが事業家に共通する認識としては国の収支がバランスすることが大前提にある。一見豊かに見えても大きな借金があっていつ破綻してもおかしくないような状況には耐えられない。トランプも事業家だが事業家として成功したか否かに大きな違いがある。トランプは前章で触れた通り事業を何度も破綻させてきたバランスを取ることが苦手な人種と言っていい。マスクは閣僚としてトランプ政権というより従来の政権が残した国債依存の収支バランスを修正しようと意図したのだろう。次の大統領選で自らが出馬することも考えているかもしれない。マスクが共和党トランプ政権DOGE(政府効率化省)のトップに就任したのは約半年前のこと。朝礼暮改もいいところだが流石天才のやることは常識では判断できない。当初の思惑とは違うが取り敢えず様子を見ようと悠長なことは考えない。その時点で最善と思えることを次々と行動に移して行く。将来的に自らが大統領になるという意思表示だろう。
さて、国内に目を移せば参議院選挙が始まったが与野党揃って消費税減税かバラマキといった低レベルな政策に白ける。今、緊急の課題は関税だが首相や大臣が何度米国に行っても説得できる材料がなければ行くだけ無駄と思える。トランプ流にハニートラップとか汚い手を使うようなことでもなければ交渉にはならない。石頭の政治家よりも脛に傷が多い政治家の方が考え方によっては御しやすい相手と思える。日本側が石頭の政治家だからどうしようもないが自動車産業がこのまま駄目になったら日本は終わる。自動車産業は製品出荷額63兆円就業人口558万人(JAMA23年度)の巨大産業である。一方で農業8兆8千億円(2021年農業総産出額)就業人口111万人(2024年農林水産省HP)と経済規模は7分の1しかなく高齢化で差は開く一方。トランプが米を買わないと不平を言うなら納得するまで買ったらいい。自動車産業が払う関税35%のうち毎年63兆円の追加関税分25%で15兆75百億円だから税金で取られるより米でも何でもトランプが納得するまで買ったらどうだ?自動車産業界が買えばいいことだが国としてそれぐらいの姿勢は見せないと自民党も先が危うい。ピンチは骨のあるところを見せるチャンスでもある。そこまでやるかと国民が唖然とするような行動力が求められる。
令和7年7月7日
アメリカ党と参院選