Chapter 217
今年を象徴する漢字は「米」に決まりだろう(笑) トランプ大統領の「米」と主食の「米」。米の主要生産国でもないアメリカ合衆国をなぜ米国と記述するのか? それは漢字表記「米利堅(メリケン)」に由来する。さて、令和の米騒動は小泉進次郎農林水産大臣の5次卸問屋飛ばしを以てしても解決しない。そもそも米価格上昇は政府のインフレ政策に沿ったものであり、肉、魚、野菜等他の食材価格が軒並み上昇している中に於いては、目くじらを立てるほどのことでもないと思える。備蓄米5キロ小売価格2千円と聞いて、私が15年前に自炊していた記憶では、新潟産こしひかりは4千5百円以上だった。米は産地によってピンキリだから備蓄米のような無名産地の米でも2千円では安すぎる。ブランド米は1万円でも2万円でもその価値を認める消費者が買えばよい。ブランド米も安くしろというなら社会主義国になって配給制にした方がいい。日本が貧困化しているのでこういう議論になるのだろうが、インフレ政策で貧困家庭の所得も増えるという安易な発想が間違っている。100円ショップには相変わらず100円で買える魅力的な商品が並ぶ。100円でも成り立つ仕組みができているから100円で売るのであり、消費者は安さに釣られて思わず買い過ぎてしまうトリックがある。お米も小泉農相のお陰で100円ショップに並ぶ日も近いかもしれない(笑)2~5次問屋さんはせこいマージンの取り合いをしていればいい。100円ショップや安さでビジネスを発展させてきた衣料品ユニクロ、しまむら、ワークマンには笑い話に聞こえる。TSMCを誘致した熊本の食堂のパート時給3000円が話題になったが、ただでさえ人が足りない地方で、パートに3千円払うなら価格表のない高級寿司屋でもやらなければ成り立たない。地方、都会を問わず回転寿司のパート時給が3千円になることはないと断言する。そもそも台湾半導体TSMCだって厳しい国際競争に晒されている。今は絶好調だからパートに時給3千円払えても工場が稼働した時点での需要と供給は不透明だからゴーストタウンにならないとも限らない。Amazonプライムビデオで「アプレンティス ドナルド=トランプの創り方」(監督:アリ・アッバシ配給:キノフィルムズ)という映画を観た。若きトランプは勝つためには何でもありの辣腕弁護士ロイ・コーンからビジネスの基本を学ぶ。お金も信用もない青二才トランプがどうやってトランプタワーやアトランティックシティのカジノを建てたか?それは、映画を観てのお楽しみだが、ヤクザやマフィアの方がよっぽど秩序立っているとさえ感じた。背筋が凍る思いだが、この映画を観れば、なぜ、78歳のトランプが大統領再選にこだわったかがわかる。膨大な借金、敗訴確実な訴訟の数々、etc. 彼が生き残るには大統領に再選されるしか道がなかった。本来なら負けて当然だが、勝つためには手段を選ばない。大統領選中の銃撃事件と拳を突き上げる姿は、この映画を観た後に思い返せば、勝つための演出だったのかと気付かされる。私はだからけしからんというつもりはない。混沌とした世界で勝つためには手段を選ばない大統領が必要だと考えた有権者が多かったのだ。 日本のように米の価格で大騒ぎする政治家達とスケールの違いを感じる。こんな大統領と互角に渡り合える首相が日本にも必要だ。
令和7年6月4日
令和の「ふたつの米」騒動